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581 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
……しかし、そんな平和な日々は長く続かなかった。
あれは午前1時くらいだっただろうか。 この時間になると終電を逃したお客さんが、宿代わりに入店してくる。 今日も俺は受付をまかされ、すでに何人かのお客さんに入店していただいてルームも埋まってきた。
そこで、とんでもない事件が起きる。
583 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? なんだなんだ?
584 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 空から核兵器が落ちてきた?!
586 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 俺ら死んでるだろww
588 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
エレベーターが開くと、カップルが入ってきた。 男は工事現場で働くニッカポッカを履いていた。 女はロングコートの中は超ミニスカートなお水系。 男は千鳥足で、女の肩を借りて立っているのがやっとといった感じだった。
590 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? DQN降臨
591 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
うちのネカフェは二階は居酒屋で、食事系オーダーはそこで作ってもらって提供している。 親会社が同じなんだろうな。 おそらくそこで飲んでいて終電を逃し、上に上がってきたんだろう。 フラフラしながら、女が会員証を2枚受付カウンターに置いた。
592 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ご利用規約に、泥酔時の、ご利用は、お断りさせていただきます、となってますので」 男:「あ?酔ってへんわヴォケ!!」
ドスの利いた声が受付に響いた。 一瞬にして、俺のおうじゃのけんが縮こまった。
593 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ご入会時に、その…お伝えしてると…思い…」 男:「酔ってへんゆーてるやろが!ヴォケ!!」
あかん、殺される……本当にそう思った。
595 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 酔ってる人間が、はい酔ってますなんて普通は言わないわなw
596 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 酒飲んで暴れる奴ってなんなの?
598 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 馬鹿。
599 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 成人式とかのニュース見てたら、世も末だと思うね。
>俺、成人式行ってないwww
602 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「すいません〜お待たせしました〜」 声を聞いたのか、リーダーが慌てて受付にやってきた。 男の神経を逆なでしないように優しい笑顔で。
リーダー:「申し訳ないです〜今、ご案内できるルームがないんですよ〜」
リーダーが全身硬直中の俺を何とか助けだそうとしてくれた。
603 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
実際、利用規約に「泥酔状態のお客さまはご利用になれません」とある。 俺は間違ったことはしていないと思っていた。
しかし大抵の場合、それを指摘してお断りすることはないらしい。 たとえば空室があっても、満室をお伝えしてお帰りいただくことが多い。
レジマスターヨルツキは、その技術をまだ知らなかった。
604 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
こいつどぶろく10個使ったろwwww
リーダーが来て少し気が緩んだ俺は、信オンのことを思い出していた。
※信オンのどぶろく(酒)というアイテムを大量に使うと、キャラクターが酔っぱらう
すると突然、女がルームの方にずかずかと入っていった。 男はヨレヨレとカウンターにもたれかかった……酒臭い。
605 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
女が血相を変えてカウンターに戻ってきた。
女:「ちょっと、奥開いてるやん!この店は嘘つくん?!」
正直、ヒステリックは嫌いだ
606 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
男:「おぅ!この店はどないなっとんねん!」
その女の声に反応した男が息を吹き返したかのように叫んだ。 本棚を見てた人がおそるおそるこちらを覗き込んでいた。
608 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 一番関わりたくない人種
609 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? うわぁ…いつもやってるんだろうな…こういうこと
611 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? これは少し分が悪い
613 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? けど、店側は泥酔客は入れないって言ってるんだぜ?
616 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? そんなことしてたら店が潰れちまう
617 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 郊外の居酒屋が今でも営業できてる理由わかるか? こんなに罰則厳しくなっても、飲酒運転は横行してる。 代行?なにそれおいしいの?
619
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 論点のすり替えヤメロ とりあえず泥酔客はサービス業にとって鬼門
623 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
奥から小走りで加藤君がやってきた。
加藤君:「奥、清掃終わりました!」 リーダー:「あ、終わった?すいません、今清掃が終わって部屋が使えるようになりましたw」 女:「…そう、使えるんやったらええわ」 男:「ええ加減にさらせよ」
リーダーが朝までのパックでいいですか?とか聞きながら奥まで案内した。
624 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ごちゃごちゃ言うなら出て行けばいいのに…」
俺は戻ってきたリーダーに悪態を吐いた。 それを聞いたリーダーが、胸のボールペンを抜いて俺の腕に突き刺した。
俺:「てっ…何するんすか?」 リーダー:「ヨルツキ君、それは言っちゃダメ」
リーダーの顔はいつになく真剣だった。
625 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「どんな人でもお客さんはお客さん。会員証を持ってたってことはリピーター様よ。 きっと前回気に入って、またここを使ってくれてるの。 その人がまた他の新規様を連れてくることだってあるわ。 いい?サービス業っていうのは、お客さんがいて成り立つの。 全てのお客さんに満足を提供しなくちゃいけない…たとえ100%はムリだとしても。 常にそういう気持ちを持って接しなければならない……わかる?」
俺:「はぃ…」
リーダー:「だから、たとえ心に思ってても、それだけは絶対言っちゃダメww」 そう言って、いつもの笑顔に戻った。
626 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? リーダー、まるで店長みたいだな。
>店長は店内ひきこもりだから、実際そうかもw
628
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダーは俺の肩を軽く叩くと、加藤君に近づいた。
リーダー:「晴彦君、ナイス」 加藤君:「俺、今日カルボナーラ食べたいっす」 リーダー:「調子のんなwww」
リーダーは、俺で手応えを覚えたのか、加藤君の横っ腹をボールペンで突きまくったw
629 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「もしかしてオラオラですか〜?」 リーダー:「何よそれwwオラオラwww」
加藤君が俺の側に逃げてきた。
加藤君:「ディ・モールト(非常に)良くやったなwこの程度で済んでよかった」
俺は頷くと同時に、加藤君が第5部まで読んでいることがわかったw
※第5部=ジョジョ第5部
631 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ジョジョ好きだと聞いた時点で、急に親近感が湧く件について
633 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? そうだな。自分の好きな物を褒められたりすると、それだけで良い奴に見えてくる。
635
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
恐怖も感じたけど、良い経験になった。 今まではアゲアゲでやってこれたけど、ここからはクレーム処理を覚えて行かなくてはならない。 これは一筋縄ではいかないだろう。
リーダーの機転、加藤君の機転。 俺がこれをマスターできるまでどれくらい時間がかかるだろうか? たとえそうだとしても、この二人の中ならやっていけると確信していた。
しかし、本当の事件はこれからやってくる…。
637 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:???
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/_ / ヽ / } レ,' / ̄ ̄ ̄ ̄\ |`l`ヽ /ヽ/ <´`ヽ u ∨ u i レ'
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_ U !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./ 獄 ん れ _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '') ""'''`` ‐'"='-'"
/ ! ! / だ. と か | |;:;:;:{ U u ̄|| u u ,..、_ -> /`i !
! \ :. う ら | |;:;:;:;i\ iヽ、 i {++-`7, /| i ! ! <_ の
が __i ヽ;:;:;ヽ `、 i ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_ ! ! / ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i
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640 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
カップルが奥に入って1時間ほど経った。 俺はお客さんのオーダー「鶏の唐揚げ」を下の居酒屋に取りに向かった。 受付の内線でできあがりを教えてくれるのだ。 当然受付は近くにいた加藤君にお願いした。
良いにおいがする唐揚げを居酒屋で受け取り、エレベーターに乗る。 あぁ…この時間の唐揚げって美味いんだよなぁ…喰いてぇ……。 エレベーターに乗り込み、鼻を近づけてみた。
男:「ゴルァ!!ワレなめとんのかゴルァ!!」
エレベーターが開くと同時に、あの男の怒号が聞こえてきた。
641 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
カウンターには受付を挟んで加藤君と男。 俺は男の後ろに立っていた。
男:「この店はどないなっとんねん!店長出さんかい!ゴルァ!!」
男は何が気にくわなかったのか、怒り狂っていた。
642 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 受付してしまった時点でアウト
643 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「ですから、すぐお取り替えしますので…」 男:「お取り替えやぁ?なめとんのか!はよ店長連れてこい!」 加藤君:「店長はもうあがりました」 男:「店長さっきおったやろ!」 加藤君:「いえ、おりませんが」
この大声は静かな店内に響く。 きっとルームのお客さんも気になってるはずだ。 その声を聞いたリーダーが、奥から急いで戻ってきた。
644 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「どうかなさいましたか?」 男:「ほら、おるやないか!糞店長!」 リーダーを指さし、店長だと叫ぶ男。
リーダー:「私は店長じゃありませんけど、どうされました?」
男:「何言うてんねん!いっつもおるのおまえやろ!おまえが店長や!」
この男、ムチャクチャだ…。
645 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
確かにリーダーは夕方からずっと働いている。 日によって出勤時間もばらばらだ。
男:「おまえの店は何や!電球も交換せーへんのか!」
電球が切れるといえば、卓上スタンドの電球ぐらいしかない。 しかし、そもそも電球なんて消耗品。 一応清掃の時にチェックするが、その時は点いたとしても次にお客さんが点けた時はわからない。
『電気が点かない場合はお申し出ください、すぐに電球交換いたします』 とスタンドにも注意書きしてある。
646 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? クレーマーってほんとうぜーな。
651 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? この前真性のクレーマー見たぜ。 小学生低学年の子供がちょっとしたことで泣くように仕込まれてた。 親:「おまえ何娘泣かしてくれてんねん!」
…正直ひいた。
655
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? うわぁ……そうやって英才教育受けて、立派なクレーマーが生まれるとw
658 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
男:「おい!どう落とし前つけるねんこれ!」 リーダー:「すいません!すぐに交換しますので!」 さすがにリーダーの顔からもいつもの笑顔が消えていた。
男:「おまえや!偉そうに見下しやがって!」 そう言うと、男は加藤君の胸ぐらを掴んでカウンターから引っ張り出した。 リーダー:「ちょっと!やめてください!」 リーダーが慌てて止めに入る。
俺は……唐揚げを大事に抱えていた。
660 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 唐揚げwwww
661 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君180cm。 男170cm(ごつい体なので大きく見えるけど)。 見下すも何も、身長が違うだけ。 じゃあ、接客業は150cm以下しかできないのか?
リーダー:「ちょっ!やめて!」 男:「なんやわれ!偉そうにしやがって!」 加藤君:「してませんけど!」 取っ組み合う二人。 リーダー:「ヨルツキ君!警察!警察!」
なんとか二人を引き剥がそうとするリーダー! 警察……警察……110番!!
俺は取っ組み合う二人を避けてカウンターに入り、唐揚げを受話器に持ち替えた。
662 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
110を押すと、1コールで出た。
警察:「どうされましたぁ?」 俺:「え、えお!お客さんがあ暴れてて!」 警察:「落ち着いてくださいーwまだ続いてますか?」 俺:「はいぃ、早く!」 警察:「はいはい、早く行きますんでね、落ち着いてw」
なんだこいつの話し方は……こっちはこんなに緊迫してるってのに!
663 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? リラックスさせようとさせてるんじゃないの?
665 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ポリなんてそんなもんだよ。 喧嘩とかは大して取り合わない。 仕事が増えるだけだから。
俺は110番の時は殺人っていうようにしてる。 今もナイフ振り回してるって言ったら、ポリ公すっとんでくるぜw
667
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 事件はコールセンターで起きてんじゃない……現場で起きてんだ!!
670 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? フィールラァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイッ!!!!!!!!!!!!!!!!
671 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ふぃいいいいいいいいいいいいぃいいいるらああああああぁぁぁあああぁあぁああい!!!!
673
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? なぁ〜にやってんだよっ、タメぇ!
675 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? オーマイトレジャー!!!!!!!
676 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 地球に生まれてよかったぁー!!!!!!
679 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ODAさん自重wwwwwwww
680 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警察:「それじゃ、住所教えてくれるぅ?」
…俺は頭の中が真っ白になった。 住所……働いてる場所の住所……わからない。 電話番号すら、携帯に登録してるから覚えてない。
681 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「えっ……と……」 警察:「どこ?どっかのお店でしょ?」 俺:「えと、○○駅の前の○○というネットカフェでぃす!」 警察:「えーとちょっと待って……○○市の○○駅?」 俺:「はい、早く!」 警察:「じゃあすぐに警察官向かわせますんで……お名前は?」 俺:「ヨルツキ」 警察:「ヨ・ル・ツ・キさんね〜お店の人?お客さん?」 俺:「おお店の人です!」 警察:「じゃあ、警察官到着するまで待ってね」
そう言って電話は切れた。
683 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? でぃすキタwwwww
684 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 焦るのは仕方ないと思う。 110番なんてしたことある人なんて少ないだろうし、現場は必死だし。
685
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
受話器を置き二人を見ると、相変わらず男が加藤君の胸ぐらを掴んでいる。 加藤君はその男の腕をがっちりと掴んでいた。
男が「殺すぞ」を連呼しながら、その腕力で加藤君を振り回す。
リーダー:「きゃっ!!」
俺:「!!!!!!」
その反動で、リーダーが突き飛ばされた。
686 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ヨルツキスーパーサイヤ人クル━━━━(゚∀゚)━━━━?!!
688 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? これはいいフラグ
689 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
いや、俺は足がすくんで、ただ見つめるばかりだった。 なんか、傍観者というか第三者的視点でこの光景を眺めていた。 女の人が暴力を振るわれたのに、何もできない、何もしない自分。
…恐かったんだ。
691 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? わかる気がする…誰もややこしいことには関わりたくない。 雷鳥のレイプ事件が顕著。
693
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? それでもここは止めに入るとかするべきだろ。
694 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ヨルツキ、盾侍だろ?何してんだよ守護れよ
697 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リアルとネトゲーはやっぱ違う……動けなかった。 俺にネトゲーと同じ強さがあれば。 いや、強さ云々じゃない、今は勇気があるかないかだった。
当然俺は後者だった。
698 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君は、突き飛ばされたリーダーが尻餅を付くのを見た。 その瞬間、いままで冷静に対処していた加藤君が、男の胸ぐらを掴み返した。
男:「何ややるんか!客相手やぞ!」
リーダー:「やめっ!ヨルツキ君止めて!」
名前を呼ばれ、初めて自分が当事者であることに気付いた。
699 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
もうとりあえず頭が真っ白だった。 カウンターから飛び出して、俺は無我夢中で男に後ろからしがみついた。
700 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
羽交い締めにしようとするも、もやしっこの俺じゃビクともしない。 それどころか、加藤君と二人がかりでも取り押さえることができない! それでも必死に押さえようとしたんだ。
ゴンッ
鈍い音とともに目の前が真っ白になった。
701 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
そう、俺は取り押さえることに夢中になっていた。 男は勢いよく顎をあげて首を後ろに振り下ろしてきて、俺の頬骨に頭突きをかましたんだ。
ストUターボで無敵と言われた俺が、なすすべもなく散った。 リアル喧嘩なんかしたことない俺は、そのままヨロヨロと座り込んだ。 俺もテンションが上がっていて、その時は頬の痛みはあまり感じなかったけど。
703 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 野郎、喧嘩慣れしてやがる
704 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ストUターボ<若干古いwww
705 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:???
それでも止めなくちゃなんない。 このままだと加藤君も手を出しかねない。
…ふと通路に、カップルの女が立っていた。
俺:「連れでしょ?止めてくださいよ!」 興奮してた俺は、心の声がそのまま出た。
女は笑ってやがった。
708 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? …マジ殺してぇ。
712 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 典型的DQNカップル
717 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? そんな男には、不思議とそんな女が付くもんだ
719 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
とうとう男は加藤君の頬をグーで殴った。 加藤君はよろよろとよろめくと、後ろにあった段差にひっかかり後ろに転がった。 さらに殴りかかろうとする男が、同じ段差に足をかけ転んだ。
そもそも大量の酒を飲んでいた男。 受け身もとらず、そのまま顔面から床に倒れた。 むくっと起き上がった男の鼻から血が流れていた。
720 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
二人が立ち上がり、再び取っ組み合いを始めた時、エレベーターが鳴った。
警官1:「はい、終わり終わり!」 警官2:「はい、こっち来てこっち」
二人の警官が店内に入ってきた。 一瞬にして男の手が加藤君から離れた。
721 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:???
警官1:「出血してるな、一応救急車2台手配」 無線で柳沢慎吾。 その後、加藤君と男は別々に聴取されることになった。 リーダーはどこかへ電話していた。
男:「あいつから手出してきおったんや!」 興奮する男が、警察の聴取で叫んでいる。
俺は当然加藤君側についた。 きっちり証言して、あの男を社会的に抹殺してやる……ククク
722 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警官2:「で、男が電球が切れてるって因縁つけてきた、と」 加藤君:「はい」 警官2:「まぁ、それは確かに店側の落ち度だねぇ」 加藤君:「けど、暴力はないでしょう?」 警官2:「まぁ、そうだけど。で、どこやられたの?」 加藤君:「俺は左頬を殴られました。彼は顔に頭突きくらってます」
加藤君が俺を指さした。
723 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警官2:「あ、君もやられたの?」 俺:「はい」<自信満々 警官2:「そっかー、でも向こうも出血してるからねぇ」 加藤君:「こっちは手出してません。その段差で勝手に転んで鼻血出したんだ」 警官2:「うん、そうなの?」 俺:「はい」<力強く
これで奴は法で裁かれるだろう!…ククク
724 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警官2:「でも、お互い怪我してるからね。これは痛み分けだね」 俺:「え?」 加藤君:「え?」 警官2:「つまり、喧嘩両成敗ってこと……りょうかーい……救急車きたけど、どうする? とりあえず、被害届出すなら、診断書書いてもらってきて。ま、無駄だけどね」
…俺は、警察のあまりの無能さに呆れるしかなかった。
725 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
怒りの矛先をどこへ向けて良いかわからない俺と加藤君。 そこへリーダーがやってきた。
リーダー:「店長がきてくれるから、病院行っていいよ」 加藤君:「いや、大丈夫っす」 リーダー:「ほら、どっか打ってるかもしれないし。ヨルツキ君も」
どうやらリーダーは店長に連絡していたようだ。
726 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警官2:「どうする?行く?」 加藤君:「…じゃあ、行きます」 警官2:「あ、行くの。じゃあ、先行って。あっち連れてくから」 どうやら、男が警官1に絡み始めたようだった。
「うぅぅぅじりばぜーん!あだじだでぃぼじりばぜーん!」
奇妙な泣き声が聞こえてきた。
……さっきまで笑ってたあの女だった。
729
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? うわぁぁぁ(AA略
731 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
警官の前での女の豹変っぷり。 その馬鹿さ加減に、逆に頭が冷静になった。 リーダーに冷めた唐揚げのことを伝えて、俺は加藤君と救急車に乗った。
732 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
病院に着き、診断書を待ってる間。
加藤君:「ごめんな。ヨルツキ君まで巻き込んじゃって」 俺:「いや、大丈夫っす」 加藤君:「いや、必死に止めようとしてくれて嬉しかったよ」
……途中まで、唐揚げ守ってたんですけどね。
加藤君:「ヨルツキ君が絡まれたら、俺もすぐ助けるよ」
第三者でありたいと願っていた自分の心が痛くなった。
733 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
診断書をもらったはいいが、店に帰るにはタクシーを使うしかなかった。 エレベーターで戻ると、店長が受付に立っていた。
……初めて見た。
734 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 診断結果は?
>診断書残ってた。うpする 診断書
739 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
午前4時。 さすがにこの時間は眠ってる人が多い。 5時をすぎると、始発で帰る人が出るので慌ただしくなるのだが。
店長がリーダーに店をまかせ、俺と加藤君をロッカーに誘った。
740 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「おまえら、何てことしてくれたんだ!」 ドアが閉まった瞬間の怒号だった。
俺と加藤君は一瞬見つめ合った。
741 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「いいか、俺はおまえらよりも長い時間働いて疲れてるんだ!
毎日毎日売上に追われてこっちは大変なんだよ!
これからこの件で書類作って本社に報告しにいかなくちゃならないんだぞ!
こんなやっかいな事起こしやがって!
俺の睡眠時間はどうしてくれる?え、言ってみろ!」
…新幹線は完全に暴走していた。
742 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「それは…向こうから絡んできたんですよ」 店長:「そこでおまえが土下座すればいいだろうが。お客様は神様だろ?」 加藤君:「それは…」 店長:「口答えするな!これは店長の指示だ!」
…確かにこちらに非があるなら謝罪はすべきだ。 電球は確かに非ではあるが、土下座までする必要があるのか? しかし、あの男に謝罪してみろ。 そこにつけこんで、もっととてつもない事が起こっていたに違いない。
…次の瞬間、店長が驚くことを口にした。
746 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「そうだ、加藤。ここで土下座しろ」
店長:「何してんだよ加藤。これはアルバイト教育だ。お客様に恥じない土下座か見てやるよ」
店長:「はやくしろ!へへっ、クビになりたいのか?」
俺は絶句した……この博多行き新幹線は何を言ってるんだ?
俺:「ちょ、店長、それは言い過ぎ……」
俺はあまりの非人道的な行為に抗議しようとした。
店長:「うるせぇ、口答えする気か。この店で一番偉いのは誰だ?」
こいつ、狂ってる…。
748 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? いるよな、権力を盾にしてってやつ。
750 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? そういうやつほど本当は小者だったりするんだな
752 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「おまえ先輩だろ?教育ができてねーな。ほら、ヨルツキに見せてやれ、土下座はこうやるってな」
その表情はとても悪意に満ちた表情だった。 人間ってこんな表情ができるのかと思うくらい不気味だった。
753 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君がゆっくりと屈んでいく。 まず両膝を付いて、そのまま腰を下ろし、両手を床に付けた。
店長:「ほら、早く額を床につけろよ」
店長が加藤君の頭を押さえつけた。
……目を背けたくなる光景だった。
754 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「言えよ!すいませんでしたって言え!」
加藤君:「…すいませんでした」
店長:「聞こえねーよ!もっとデカイ声出ねーのかよ!」
加藤君:「すいませんでした!」
俺は溢れた涙をこらえきれず、顔を隠すようにしてユニホームの袖で目をぬぐった。
755 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「ちょっと顔が良いから使ってやってんのに、調子に乗るんじゃねーぞ」 店長は加藤君から手を離して立ち上がると、そう言い残してロッカーを去った。
…加藤君にかける言葉が見つからなかった。
756 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「…かっこわるいところ見られちまったなw」 俺:「いや、大丈夫…」 加藤君:「……『バスケがしたいです……』みたいだったな俺w」
俺は再び涙が溢れそうになった。
757 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 加藤君……大人すぎる
760 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 土下座なんて「嫁に下さい」以外使うとこないもんな
762 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「お疲れ様、大丈夫?」 加藤君:「いや、大したことじゃないですよ。接客のアドバイス受けただけです」
リーダーはそれ以上詮索しなかった。 もしかしたら、俺の目が充血していたのに気付いたのかもしれない。
店長はいつもの部屋にこもっていた。 恐らく本社にこの事件を報告する資料を作っているのだろう。
763 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
ロッカーを出たら始発待ちの人が精算に来始めたので、少し店が忙しくなった。 それはそれで救いだったかもしれない。
やがて、高橋タンと矢口さんがやってきて、いつもの朝を迎えた。
764 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダーから事の顛末を聞いたんだろう。 高橋タンと矢口さんが加藤君を気遣っている。
……あれ……俺も頭突きくらったんすけど……。 目から汗が……(´;ω;`)
765 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
高橋タン:「あ、ヨルツキくんも大変だったね」
すごく……ついでっぽいです……
矢口さんは俺のことはどうでもいいらしい。 ずっと加藤君のほっぺを見つめていた。
766 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
8時を過ぎ、俺と加藤君はロッカーに入った。
加藤君:「これから御飯食べにいかね?」 突然加藤君から近所のファミレスへお誘いを受けた。 今までは単なるバイト仲間だったけど、加藤君とうち解けられた気がして嬉しかった。
…そして、聞いてみたいこともあった。
767 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
どうして加藤君はさっき土下座したんだ? どうしてそこまでしてこのバイトを続けたいんだ? 俺なら……このロッカーを飛び出し、二度とここには戻らないだろう。 その理由を聞いてみたかった。
768 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「お、今日は一緒?w」 加藤君:「はい、御飯行こうってことになって」 リーダー:「きゃぁwww男同士でwwwどうする高橋〜wwww」 高橋タン:「彼女いないって言うから、まさかとは思ってたけど……ヨルツキ君のどこが良かったの?」 リーダー:「きっとシャイなとこじゃない?wwwちゃんとゴムはしなさいよwwwwww」 俺:「ちょw」 加藤君:「まぁ、楽しんできますんでw」
つい2、3時間まえが嘘のように、今までどおりの日常がそこにあった。
770 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 女ってやつは……男同士が大好きだな
773 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 別に全部がそういうわけじゃない。おまえらだって百合は肯定するだろ?
777 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 世の中にはふたなりというものがあってだな・・・
>気持ちいすぎて私…お国がわからなくなっちゃうッ!!
781
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店を出て、駅前のファミレスへ向かう。 近くの24時間ファミレスに入り、それぞれオーダーする。
俺:「ちょっと待っててくださいTELしてきます」 加藤君:「ああ」
俺は席を立ち、家に電話した。
782 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「あ、母さん?ごめん今日御飯いらない」 母さん:「どうしたの?」 俺:「バイトの先輩と御飯食べることになって」 母さん:「そう……じゃあ、夜に回すわね」 俺:「うん、ごめん。じゃあ」
俺はTELを終え、すぐに席へ戻った。
783 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「彼女?」 俺:「いえ、そんなのいませんよ」 加藤君:「そう?」
2次元ならいますけど…は加藤君にはまだ早いと思った。
784 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ヨルツキの嫁紹介して!
>多すぎて毎日大変。俺枯れちゃうwww今はバンブーの珠ちゃん
787 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「加藤君も彼女いないんですってね?」 加藤君:「ああ、女欲しぃーw」 俺:「加藤君なら誰でも落とせますよ」 加藤君:「そうかぁ?けど、いい女いねーんだよなぁ」
これが……これが憧れてた男同士の普通の会話ってやつか!
788 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君も結構芸能人には詳しいようだった。 オーダー品が来るまで、自分の好きなアイドルの名前をあげて酷評していた。
789 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「バイト先、女性ばっかりじゃないですか」 加藤君:「そうだなぁ」 俺:「じゃあ、あの3人の中じゃ誰が好みですか?」 加藤君:「みんなかわいいもんな。って当たり前か」 俺:「え?当たり前?」 加藤君:「あれ?知らない?」
え?何?なんか世間の当たり前のこと俺知らない?と少し不安になった。
790 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「うちのバイトの基準、可愛い子しか取らないって方針らしいよ」 俺:「え、そうなんですか?」
俺が入ってるバイト先の女性は、芸能人に例えやすいくらいだからカワイイってことだ。 接客業はそういう採用基準もあるらしい。
792 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 確かにサービス業ならそれも重要だろうな。
793 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ケーキ店やら和菓子店やらで店員がコニーなら、何故か美味しそうに見える
796 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 食堂系も、若いおねーちゃんよりおばちゃんのほうが安心する
800 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「俺はあの中だったら……矢口さんかな」 意外な名前に驚く俺。
加藤君:「なんだっけ、えっと……何とかデレ」 俺:「ツンデレっすか?」 加藤君:「そうそう、最初はツンツンしてたけど、慣れていく内になんか笑顔とか見せてくれるんだよ」 俺:「俺はまだツンツンですけどね」 加藤君:「たまに高橋さんが遅刻するときとか俺が残ったりするんだよ。少しずつ仲良くなった」 俺:「なるほど……」 加藤君:「高橋さんのあのおっぱいは捨てがたいけどな」
加藤君が普通の変態だあることがわかって、より親近感がわいたw
801 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「じゃあリーダーは?」 加藤君:「好きだよw」 俺:「みんな好きじゃないっすかw」 加藤君:「でもリーダーは別格っていうか……みんなあの人を慕ってる」
高橋タンも矢口さんも、もちろん俺だってリーダーを慕ってる。 あの人の為なら、一生懸命仕事をしようという気になる。 当然加藤君もその一人なわけだ。 しかし、加藤君の表情が今までと違い、突然真剣になった。
加藤君:「俺、あの人に救ってもらったんだよ……実はさ……」
ここで、加藤君の意外な過去が明らかになる。
802 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「実はさ、俺、引きこもりだったんだ」
……俺は言葉を失った。 加藤君が引きこもり? このさわやかすぎる、笑うと歯がキラーンとしそうな加藤君が? 交代時に女の子に囲まれて楽しそうに話してる加藤君が?
……ありえない。宇宙の法則が乱れてもありえない。
803 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「高校途中で部活の連中にイジメにあってさ。高校も行かなくなってそのまま引きこもり。 荒れたよ。なまじ体がでかいからさ。部屋の壁は穴だらけw毎日することもなくってさ。 ……で、3年くらい引きこもった時、オヤジが死んだ」
加藤君が、俺に自分の過去を語り始めた。
804 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「それまではわからなかったけど、俺、親に喰わせてもらってたんだよな。 それなのに、偉そうにさ、飯は部屋の前に持ってこいだとか言ってさ。 オヤジが死んで、収入が無いってんで引っ越しすることになった。 その時だよ、やっと自分が馬鹿なことしてたって気付いたのは……」
俺が迎えるかもしれない未来を、加藤君はすでに体験していたんだ。
806 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ほんと、ひきこもってるやつに言いたいね。 誰のおかげで飯が食えるのか。
809
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 本当のひきこもり相手するの大変だよ。 「別に生んでくれって頼んでない」って言われた時、返す言葉がなかった。
815
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「オヤジは昔っから大学だけは出とけって言ってたんだ。 遺言がわりじゃないけど、俺はそれを果たそうと思った。 オフクロはその意志に反対しなかった。だから俺は受験勉強を始めたんだ。 けど、うちに大学に行く金なんかあるわけない。……だから俺は、バイトを始めたんだ」
816 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「けど、高校中退の俺は、まず情報誌に書かれてある高卒以上の文字に唖然とした。 それ以外に面接に行っても、引きこもってた俺は当然の如く会話がままならず面接で落とされる。
…そこで出会ったのがリーダーだったんだ」
817 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「リーダーは俺を採用してくれた。だけど、俺、接客とか出来なくてさ。 ほら、ひきこもってたわけじゃん長い間……それでもあの人は俺を見捨てなかった。 積極的に面倒見てくれて、俺は人間として失っていた物を取り返した気がした」
まるで……その時の加藤君は、今の俺のようだった。 人と話すことが極端に苦手だった俺が、ここまで話せるようになったのは……リーダーのおかげだった。
818 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「さっき俺、土下座したじゃん? 俺だってしたくなかったよ、あんなクソ野郎に。 けど、今俺が辞めたら間違いなくリーダーに負担がかかる。 ヨルツキ君もだいぶ出来るようになってきたけど、正直もう少し時間が欲しい」
加藤君が休みの日は、リーダーと二人きりだ。 確かに俺は、まだまだ店を回せる自信がなかった。
819 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「けど、来年俺は大検受験して、大学に入ってこのバイトは辞める」
明確なビジョン、確固たる自信。 これが引きこもりだった人の言葉だろうか?
820 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「あの……加藤君って何歳っすか?」 加藤君:「俺?今23だけど」
落ち着いた印象があるので25、6と思ってたのに、俺と一つしか変わらないんだ……。 しかも24歳で入学するとなると、卒業は28歳。 そんな新卒を採用する企業があるんだろうか?
821 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「卒業して就職が簡単にいくなんて思ってない。けど、これは俺が犯した罪滅ぼしなんだ」 俺:「罪?」 加藤君:「引きこもって迷惑を掛けた親への、そして自分自身への」
……俺はいかに自分が甘ちゃんであるか思い知らされた。
822 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「一応それまではよろしくw」
加藤君が手を差し伸べてきた。
俺:「そんな……こちらこそよろしくお、お願いします!」
俺達は固い握手を交わし席を立った。
823 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「ここは俺が出すから。いろいろ聞いてもらったしw」 俺:「いや、いいっすよ」 加藤君:「先輩だからな、おごるのが当然」 俺:「こんな時だけ先輩面やめてくださいw」 加藤君:「頼むw頼むw頼むwww」
加藤君がどうしてもというので、ファミレス代はおごってもらった。
824 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「今日の事は、誰にも言わないでくれ」 俺:「言いませんよw」 加藤君:「男と男の約束だからw」
そう言って俺達は家路についた。 男と男の約束……ゲームの中だけのもんだと思ってた。
825 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
帰ると母さんが嬉しそうに出迎えてくれた。
母さん:「お友達ができたの?」 俺:「お友達っていうか、先輩だよ。とっても良い先輩」 母さん:「そう、大切にしなきゃね」 俺:「ああ、そう思ってる」
加藤君だけじゃない。 リーダーも、高橋タンも、きっと矢口さんだって。 あの新幹線だけは絶対に許せないけど。
826 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
母さん:「顔……どうかした?」 俺:「ん?」 母さん:「頬がちょっと赤くなってるけど」 俺:「…あ、なんでもないよ。ちょっとこけただけだから。お風呂はいるね」
逃げるように俺は風呂に入った。 鏡を見ると、確かに赤く少し膨らんでいる。 そうだ、俺、今日頭突きくらったんだ……。
827 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N
2008/04/01(火) ID:L1rkxj2s0
俺は風呂に入り、疲れた体を休めた。 鏡を見ると、確かに少し赤く腫れてきている。 そんなに痛くないし、今日寝れば治ってるだろう。
そう思って風呂を上がり、そのまま布団に入った。
828 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
次の日、目が覚めると全身が痛い。 昨日、男を取り押さえようと緊張したので、全身が筋肉痛。 顔の傷も昨日は熱いと感じていたのが痛みに変わっていた。 鏡を見ると、頭突きをくらった箇所が青紫に変色していた。
829 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
ちょっとパソコンで調べ物があると言って、今朝食べなかった食事を自分の部屋で食べた。 青椒牛肉絲(ちんじゃおろーす)と中華スープと御飯だった。
このアザはできるだけ母さんには見せたくない。 俺は逃げるように家を出てバイトに向かった。
830 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 打撲ってひどいよね。 なんかあり得ない色に変色していくから気味悪い。
833
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
バイト先に着くと、真っ先にリーダーが駆け寄ってきた。 リーダー:「うわ、これはひどいなぁw」 顔を触ろうとするリーダー。 俺:「ちょ、マジやめてくださいw」 リーダー:「じゃー、とりあえずこれ貼っとこうか、お客さん驚いちゃうもんね」
リーダーは大きい絆創膏を剥がしていく。
834 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「動くなw我慢しろw」 俺:「だって!ぐあっ!」 リーダー:「これでよし。ニキビが潰れたっぽくて問題ないっしょw」
この人、荒療治の先生みたいだな。
835 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「あ、あの、加藤君は?」 リーダー:「あ、やっぱ気になる?」 俺:「え?あ、そりゃぁ」 リーダー:「もう、二人の仲に入っていけないw」
両手を組んで首を横に振るリーダー。
俺:「いや、誤解しないでくださいよ」 リーダー:「ふーん。否定するところがますます怪しいw加藤君なら今シャワー清掃行ってる」 俺はスルー技能を発動し、急いでロッカーで着替えて加藤君の様子を見に行った。
836 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「おはよ……ちょw顔どうした?昨日の?」 俺:「おはようございます。今リーダーに貼られました。加藤君は何ともないんすか?」 加藤君:「俺殴られたときに後ろに転がったから、受け身取れてたんだな。痛みは残ってるけど」
これが万年下校部だった俺と加藤君の運動神経の差って奴か……。
837 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「運動神経いいっすね。部活は何してたんですか?」 加藤君:「あぁ、バスケ。まぁ途中で学校自体辞めちまったけどw」
そっか、だからスラダンがバイブルなのかw とりあえず加藤君も無事だったので良かった。
838 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「何があるかわかんないけど、また今日から頑張ろうな」 俺:「はい」
……それからは同じ事を繰り返す毎日。 夜出勤、朝帰宅、昼睡眠、夕方信オン。 でも、アルバイトに行くというだけで、とても毎日が充実していた。 とんでもない事件もあったけど、俺は楽しいバイト生活を送っていた。
840 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? もう完全に専門学校に行くって決めてたんだな、この時点で。
>そうだなぁ……でも何よりお金を貯める喜びが強かったかな?
845 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
しかし、その充実した日々の中に、どうしても一つ疑問があった。 店長はやはりあの部屋から出てこない。 店長のドアの開閉で何度か中をチラ見したことがあるが、そんな広いスペースではなかった。 あんな場所でほぼ一日、いったい何してるんだろう。 その気持ちが毎日沸々と膨らんでいた。
846 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
別に仕事が忙しくて手伝って欲しいとか思わない。 加藤君が休みの日とかは、終電近くはかなりキツい。 とはいえ、あの部屋から出てきて欲しくないのが本音だ。
加藤君に見せたあの悪魔のような表情が、今も頭にこびり付いて離れない。 しかし、ずっとあの部屋にこもりっきりってのも何か不気味に感じる。
847 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
そもそもこのバイトの唯一の不満点は、店長がいる23時からの1時間だった。 加藤君も店長のことは相当嫌ってると思う。
だから、この話は加藤君が休みの日にリーダーに聞くことにした。
848 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「えーとね…」 店内が落ち着く夜明け前、俺が質問をぶつけると、リーダーは答えに困っているようだった。
リーダー:「店の売上をのばす方法を考えてるんだと思うよ」 俺:「でもそれって清掃やりながらでもできるんじゃないですか?」 リーダー:「うーん……ヨルツキ君は、店長に受付に出てきて欲しいの?」 俺:「いや、絶対イヤです」
俺は強く否定した。 加藤君に土下座させたあの店長だけは絶対に許せなかった。
849 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「そうだよねぇ……やっぱみんな嫌ってるよねぇ」 リーダーはため息混じりにそう言った。
リーダー:「ヨルツキ君が来る前にバイト入ってた子、店長と一悶着あって辞めたの」 俺:「うーん……なんとなくそんな気がします……」
だって、他に辞める原因が見あたらない。 就職や引越で仕方なく辞めるならまだしも、こんな良い環境、辞めたいと思わない。
850 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「私さ、この店のオープニングスタッフなんだけど」 俺:「この店出来たのって……」 リーダー:「5年くらい前かな?前の店長がオープン1年くらいで辞めちゃって、店長がずっといなかったの」 俺:「店長が…いない?」
店長がいないって……そんなの店が成り立つのか?
851 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「この店の親会社は、下の居酒屋チェーンなのは知ってるでしょ?
ちょうど居酒屋の店舗拡大時期で、おまけでやってるようなこの店に、
その人員は回ってこなかった。だから私が本社からリーダーに任命されて
店長代理として働いてたの」
853 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「店長がいないから、お店の要望を本社に伝えられない。
頑張ってるアルバイトの給料を上げて欲しいってことも言いたい。
もっと雑誌の種類を増やして欲しい、漫画を増やして欲しい。
もっともっとお客さんの満足行くお店にしたい。
けど、私にはその資格がない……店長じゃないから」
854 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「で、二年前、今の店長が新卒で入ってきた。
一応私は本社の人に知られてるから、彼は私には低姿勢で近づいてきた。
本社に陰口を言われるのが恐かったんでしょうね。
けど、普通のアルバイトの子達には異常なくらい威張り散らしてたわ。
だから私は、女性用のロッカーを店長部屋に変えて隔離したの」
857 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? だから今、ロッカールームは男女兼用で一つなのか。
>そういうこと
860 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
「店長が本社会議に向かうことによって、私達の要望が通りやすくなった。
そのことには凄く感謝しているわ。
……だからこそ、例えどんな店長でも、いなくなるのは恐かった。
でも、お店に立つと、バイト達の士気が下がる……辞めちゃう。
店長はいてくれるだけでいい、それで頑張った子達の給料もあがるし、お店もずっとよくなる。
……でズルズルとこんな感じw」
861 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「店長には言わないんですか?もう少しバイトを大切にしてとか」 リーダー:「何度か言ったんだけどね。まるで眼中にないみたい。バイトは使い捨て感覚?w」 俺:「そうですか」
笑顔のリーダーはそう教えてくれた。
862 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
……ずっと我慢してるんだ。
加藤君はその事を知っていて、奴に頭を下げたんだろう。 せっかくリーダーが我慢してやってきたものを、自分が壊すわけにはいかないと思って。
新幹線は車庫に入れておけば、事故を起こすこともない。 これが良い店長なら、こんな悩むこともなかっただろうに。
863 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
内情を聞き、俺は店長の存在を頭の中から消そうと思った。 唯一耳を貸すリーダーが言っても無駄なのに、俺がどうこうできるわけがない。 こういう人間は絶交リストに入れてしまえばいい。
※絶交リスト=信オンにて絶交すると、相手がいくら話しかけてこようが対話が無視される。
864 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
……そう思いこんで何週間か経ち、とうとう初めての給料日を迎えた。
深夜手当も付くので、1000円入金で作った通帳にはそれなりの金額が入金されていた。 このまま続けていけば、ゲー専の学費2年分は貯められる。
でも最初の給料は、母さんに何か買ってあげようと考えていた。 しかし、何を買ってあげれば喜んでくれるかわからない。 これは素直に同性である女性の意見を求めた方が良いと思った。
相談事なら誰に聞けば良いか決まってる。 俺はリーダーに相談してみることにした。
865 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「え?!好きな人に告白でもするの?!」 俺:「ち、ちがいますよ。母さんに何か買ってあげたくて」 リーダー:「ヨルツキ君良い子だね〜泣かせるね〜あたしゃぁこんな息子が欲しいよ」 俺:「で、どんなのがいいっすか?」 リーダー:「最近ヨルツキ君、スルー覚えたね……そうだなぁ」
リーダーが顎に人差し指を当てて考え込む。
866 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「はっきり言って何でもいいと思う。コンビニの商品でも」 俺:「え?安くないですかそれ?」 リーダー:「値段じゃない、その気持ちだけで十分よ。逆に高価な物とかだと気が引けちゃうかもね」 俺:「そんなもんっすか」 リーダー:「最近の会話で、何か褒めてる物とか欲しい物言ってなかった?そういうものを贈ると良いと思うよ」 俺:「わかりました、考えてみます」
俺は頭の中の会話履歴を開く。
……そういえば最近、母さんは太ってきたって言ってたな。 で、新聞の朝刊チラシに入ってた『はめるだけでやせる指輪』褒めてたぞ。 ダイエット食品とかは変なクスリ入ってそうで恐いけど、これならはめるだけだし健康に害はなさそうだ。
873 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 痩せるわけないじゃんww
885 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 痩せるコツを教えてやろう。
食べるな。
890
:以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 極論すぎw
910 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? まぁ中国産とか、産地偽装とか平気で出回る世の中だからな。 口に入れる物は気をつけた方が良い。
>そう思って指輪にしたんだ。気休めにでもなるだろうから。
924 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺は家に帰ってすぐ、インターネットでこの指輪を注文した。 母さんはわりと痩身で、恐らく指のサイズは7号くらいだと思う。 けど、正確なサイズがわからない。
よくサイトを調べると、フリーサイズもあるらしい。 きっとこれなら大丈夫だろう。 早速買い物カゴに入れてクリック。 商品の到着は明後日が最速か。 そうだな、バイトに行く前、御飯食べるときに渡せるように20時−21時指定にしてと。
俺は指輪到着を待った。
925 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
いよいよ宅急便が届く日。 代引きだったので慌てて玄関に向かい、商品を受け取った。 ちょうど御飯ができたと呼ばれたので、俺は母さんにこれを渡すことにした。
930 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 宅急便に出るだけでも引きこもりは完全脱出だな。
934 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ほら、これ」 母さん:「何……これ?」 俺:「ちょっと前、初めての給料日だったからさ。母さんにプレゼント」 母さん:「え、ホントに?」 俺:「開けて良いよ」
母さんは宅急便の包み紙を丁寧に開けた。
935 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
母さん:「まぁ……」 俺:「ほら、最近母さんこれ褒めてたからさ」 母さん:「ありがとう、高かったでしょ?」 俺:「いや、気にしないで、ほんのお礼だから」
母さんは目に涙を浮かべて、ありがとうを繰り返した。
940 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
母さん:「じゃあ、はめてくれる?」 俺:「自分ではめなよ」 母さん:「せっかくだから、ね?……こっちは父さんだから、こっちに」
俺は少し照れながらも、母さんの右手の薬指に指輪をはめてあげた。
943 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「あれ?」 母さん:「結構ゆるいわね……中指にはめてみて」 俺:「うん」
俺は中指に指輪をはめなおした。
944 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「それでもゆるいな……交換してもらおうか」 母さん:「ん、大丈夫。これが……いいの」 俺:「でもさ……」 母さん:「初めての、これがいいの」 俺:「そう?ならいいけど」
母さんは指にはめた指輪を高く掲げて喜んでくれた。 こんなに喜んでくれるなんて、本当に贈って良かったと思う。 毎月はしんどいけど、半年に一回ぐらいは何かしてあげるかな?
945 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
ゲー専の学費だけじゃなく、母さんにも何か買ってあげたい。 そう思うと、余計アルバイトに身が入った。
毎日素晴らしい仲間に囲まれ、アルバイトを始めてから3ヶ月ほど過ぎた。
951 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? カアチャン「初めての、これがいいの」
……泣けるな。・゚・(ノД`)・゚・。
8
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0 スレ立ててくれてありがとう&誘導ありがとう
俺:「おはようございまーす」 リーダー:「おはよー」 ?:「あぅぅぅばぅ」
俺:「?!!」
あれ……俺、信オンのやり過ぎで目がおかしくなったのかな? リーダーの胸に……なんかいる。
9 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
?:「あぁぁう!あぁぁう!」 リーダー:「ほら、ヨルツキおじちゃんでちゅよ〜」 ?:「おー!おー!」
間違いない……あれは確か赤ん坊とかいうやつだ。 …しかし、おじちゃんは少し心外だな。
11 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? リーダー子持ちかYp!
15 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「舞人(マイト)です〜よろちくでちゅ〜」 俺:「えーと、はい、よろしく……」
とりあえず挨拶はしてみたものの、突っ込み所が多すぎて頭が混乱した。
16 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「じゃあ舞人くん、だっこしてもらいましょうねぇ〜w」 俺:「え?!」 リーダー:「はいここ、こう持って、そうそう、こっちはこう」 俺:「え?!え?!」
俺はリーダーに手取り足取り操られ、いつのまにか舞人くんをだっこしていた。
17 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「おー泣かない!じゃ、よろしくぅ」 俺:「え……えぇぇ?!」 舞人くん:「う゛ぁぁぁう」
俺は受付で舞人くんと二人ぽっちになった。
18 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? これは気まずいww
20 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
舞人くんが俺の顔を見上げている。 俺は緊張で1oたりとも動くことができなかった。
初めて抱いた赤ん坊。 小さくてもズシリと重みを感じる。 その小さい手は、常に何かを掴もうと伸ばしていた。
脆くて危うくて……でも力強く生きようとしている。 俺もこんな時あったんだろうな。 母さんの腕に抱かれている時が。
人の子でこれだけカワイイのだから、自分の子ならどれほどカワイイのだろう。
……ここでピンと来た。 リーダーの面倒見の良さ。 そうか、お母さん特有の母性愛だったのか。
21 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「おお、泣いてない?!」
奥から加藤君が戻ってきた。
俺:「ちょ、加藤君!交代して!まだタイムカード押してない」 加藤君:「ダメダメ、俺だと泣いちゃうから。代わりに押しとく」
そういうと、加藤君は俺のタイムカードを押してくれた。
23 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 着替えてもないのにタイムカード押すのはどうかと思う。
>すまない、今は反省している。
26 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「でも、リーダーに子供がいるなんて初めて聞きましたよ」 加藤君:「あー、お、外線」
話の腰を折るように、外からの電話がかかってきた。
リーダー:「ごめんごめん〜着替えてきて〜w」
するとリーダーが奥から戻ってきて、舞人くんを俺の腕から抱きかかえる。
27 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「リーダー結婚してたんですか?」 リーダー:「ん?してないよ〜?」
あ、悪いこと聞いたかなと思った。 最近はシングルマザーも多いもんな。
リーダー:「あ、なんか勘違いしてる?舞人は妹の子供w」 俺:「はぁ……そうですか」
なんか一瞬ほっとしたような。 ま、それはいいとして、何で妹の子供がここにいるんだ?
28 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
加藤君:「……あ、はい。リーダー、妹さん下に着きましたって」 受付で外線を受けていた加藤君がリーダーに伝える。
リーダー:「あ、じゃあちょっと行ってくるね」
リーダーは舞人くんを抱えたままエレベーターに乗り込んだ。
29 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「なんで妹さんの子供が?」 加藤君:「ほら、リーダーって休みないじゃん?だから妹さんがどうしてもって時、店で預かるんだよ」 俺:「そうなんすか。いやーそれにしてもホントびっくりしたっす」 加藤君:「まぁ、2,3人いてもおかしくない歳だしなぁ」 俺:「え?リーダーって何歳なんすか?」 加藤君:「俺が言ったって言うなよ?」 俺:「はい」
耳に手を当てて、加藤君は呟いた。
加藤君:「今年32」
30 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「えー!」 加藤君:「シーッ!声デカイ!w」
俺は思わず驚きの声を上げてしまった。
32って……32歳だよな。 信じられない……童顔だなぁとは思ってたけど。 高橋タンと比べてもそんなに年の差があるなんて思えない。
31 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「若くないっすか?」 加藤君:「化け物としか思えないよなw」
俺が頷いてると、リーダーが帰ってきた。
32 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「ちょ、何してんのw早く着替えてきなさいw」
俺はユニフォームに着替えることを忘れていた。 急いでロッカールームへ入る。
…リーダーが32歳。 いろんな人生経験してきてるんだろうな。 俺なんて、リーダーから見たらまだまだお子ちゃまだ。
子供扱いされないよう頑張らなくてはと、俺はロッカールームを出た。
35 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
それから何事もなく一週間が過ぎた。
リーダー:「ヨルツキ君、最近格好が板についてきたんじゃない?」 俺:「そうっすか?」 リーダー:「入って3ヶ月くらい?」 俺:「そうっすね。もうちょっと経ってます」 リーダー:「うん、初めてユニフォーム姿見たときは、着せられてる感でいっぱいだったけどw」
俺もすっかりバイトが板についてきたようだった。
リーダー:「あ、外線」
36 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「……そうなの。わかった。じゃあね」 俺:「誰からですか?」 リーダー:「高橋。なんか今日来られないって」
これは非常に困る。 正直言って最低の人数で店を回しているんだ。 一人休むとそれがしわ寄せとなり、結局リーダーがその穴を埋める。 だからと言って高橋タンを責めるわけにはいかない。 俺だって突然お腹の調子が悪くなって、店に来られないかもしれない。
37 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 会社は人件費少ない方が嬉しいけど、ほんと人数が足りないのは辛い。
39 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
いつも元気なリーダーといえど、俺が入ってから一度も休みなし。 勤務時間もめちゃくちゃ。 さすがにこれは店長に直談判したほうがよくないだろうか?
40 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「今日私、お父ちゃんとお母ちゃんのとこに、舞人迎えに行かなくちゃいけないんだよね」 俺:「そうなんですか?」 リーダー:「今日は加藤君も休みだし……というわけで、ヨルツキ君、店長来るまで入れる?」 俺:「俺っすか?別に明日休みだから大丈夫ですけど……」
心配なのは、矢口さんと二人っきりになるってこと。 未だに朝挨拶を交わすくらいで話したことない。
41 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「やっぱ都合悪い?」 俺:「いや、それは大丈夫なんですけど、矢口さんですよね」 リーダー:「……やっちん恐い?」 俺:「恐いっていうか、その、嫌われてないか心配で」 リーダー:「大丈夫大丈夫wやっちんって人見知り激しいだけだから。すごく良い子だよ」
確かに俺が輪に入っていないと楽しそうに話している矢口さん。 俺もあの笑顔を見ることができるだろうか?
42 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
そしてあっという間の朝。 一応、帰れないことを先に母さんに連絡させてもらった。 その間に矢口さんは出勤していた。 矢口さんがユニフォームに着替え、ロッカールームから受付に出てきた。
俺:「おはようございます…」 矢口さん:「…おはよう…」
恐る恐る俺が挨拶をすると、矢口さんはスッとルームの方に行ってしまった。
ヨルツキ、試練の時……。
44 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 矢口さん……ツンデレっていうよりクーデレ?
>そうかもしんない
48 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「じゃあ、お疲れ様。あとはよろしく〜w」
リーダーが高橋タンの休みを矢口さんに告げた。
あぁ……リーダー行かないで……。 無情にもエレベーターの扉は閉ざされた。 受付に取り残される俺と矢口さん。
49 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
矢口さん:「受付……お願い……」 そういうと、矢口さんはルームの方に入っていった。
これ……あからさまに避けられてる?
53 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 生理的に無理って言われた俺が通りますよ……OTL
54 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ヨルツキのことがキモいんじゃないの?
>それは言わないでくれ。
55 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
……でも、そんなこと考えても仕方がない。 俺は今仕事してるんだ。 矢口さんとお見合いするわけじゃないんだ。
そう考えたら、受付で立ってるだけなんて矢口さんに申し訳ない。
56 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「矢口さん……」
振り返った矢口さんに返事はなかった。
俺:「朝の仕事教えてください」 矢口さん:「…………うん」
答えをもらうまでのちょっとした間が恐かった。 受付しててと怒られるかと思ったけど、どうやら考えすぎだったようだ。
57 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
朝の仕事は初めてだ。 基本的にお客さんの出入りも少なく、楽な仕事かなと思っていたが甘かった。 ジュースサーバーの清掃、交換。 新書の仕分け登録、古書の廃棄の手続き。 他にもお客さんが少ないからこそできる仕事。 別々の時間帯とはいえ、朝と夜の仕事は全て繋がってる。 みんながこの店のためにできることをやって、この店は回っているんだ。
59 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? バイトと言えど、こうやって社会の仕組みを知るんだな。
63 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 学生時代のアルバイトは大事。 仕送りでのうのうと暮らしてきた新卒は育てるのに倍時間かかる。
65
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
言葉数は少ないけど、矢口さんは要所要所を教えてくれた。 教えられたとおりに、俺は黙々と朝の仕事をこなした。 これをしっかりやっているからこそ、夜のみんなが安心して働けるんだ。
俺:「こんなもんすかね」 古書の束を紐で一つにまとめて俺は一息吐いた。
矢口さん:「……ありがとう」
何故か胸がキュンとした。
68 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
これがいわゆるクーデレの破壊力ってやつか。 ほんの少しだけ見せた笑顔。 もっと見たいと思わせる笑顔。
矢口さん:「とりあえず、朝やることは終わったわ」
まだ矢口さんの表情は硬い感じがした。 時計を見ると11時を回ったところだった。
69 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「店長が来るまで、あと1時間くらいですね」 矢口さん:「そうね」
何か会話の糸口を見つけないと……。 俺から何か話さないと、きっと矢口さんはまたルームの方に行ってしまう。
70 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「あの……」 矢口さん:「はい」 俺:「加藤君ってカッコイイですよね」 矢口さん:「ぷっ……」
矢口さん……フイタwww
72 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
矢口さん:「本当に加藤君狙ってるんだwww」 俺:「ち、違いますよ、そういう意味じゃなくて」
誤解とはいえ、矢口さんが笑ってくれた。 それがきっかけで、少しずつ話せるようになった。
加藤君、ネタにしてしまってすまない……。
73 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「やっぱり女性の目から見て、加藤君は男前だと思います?」 矢口さん:「うん、それは間違いないと思う……けど」 俺:「けど?」
矢口さん:「私はヨルツキ君の方がいいかな」
75 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
79 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 恋愛フラグクル━(゚∀゚)━?!!
82 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
矢口さん:「あー、加藤君と二人だったらの話ね」
俺の春、2秒で終了wwwww それでも俺は少し動揺していた。
俺:「な、な、なんで?」 矢口さん:「ほら、加藤君くらい男前だと、言い寄ってくる女の人多そうでしょ?」
それって俺が不細工だから浮気しなさそうってこと? 毎日2次元の嫁取っ替えひっかえですけどもwwwww
85 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? ヨルツキ無様m9(^Д^)プギャー
86 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
矢口さん:「あー、ごめん、ヨルツキ君がかっこわるいってことはないよ」 俺:「いいっすよ、フォローしなくてもw慣れてますからw」 矢口さん:「慣れてるって……うーん、ほんと自信持ってw」 俺:「それも良く言われますw」
……さっきまで話せるかどうか心配してたのに、いつのまにか普通に話ができてる。 俺がほぼ初めて話す人とこんな簡単に会話できるなんて……。 矢口さんも、硬い表情は消え、時折笑顔を見せてくれる。
その後も、お客さんに動きは無く、何故か男と女の恋の話で盛り上がっていた。
88 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? なんか……ヨルツキが……憎い……
90 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? なんだこの順調ぶりは!
91 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 矢口にクーデレされたい
94 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? >91 すでに日本語の域超えてるww
96 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
チンッ エレベーターが開いた。 矢口さん&俺:「いらっしゃいませー」
その瞬間、矢口さんの表情が一気に硬くなった。 その二人の視線の先に……めちゃめちゃ笑顔の新幹線がいた。
97 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「おはよう……どうして君が?」 なんだこの笑顔……?! しかも猫を被った優しい声。
気持ち悪い……。
気持ち悪いにもほどがある!
98 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「その……高橋さんが突然来られないって事なので」 店長:「そう、代わりに入ってくれたんだね、ありがとう」
……心臓が高鳴る。
なんだこの違和感、違和感、違和感!
矢口さんが挨拶もせずに、ルームの様子を見に行った。
100 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 矢口さん……やっぱ店長嫌われてるんだなぁ
>まぁ加藤君にあんなことさせるくらいだから、何かがにじみ出てるんだとおもう
105 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
店長:「じゃあとっとと帰れ。一秒でも早くタイムカード押せよ」 そう言って店長は自分の部屋に入っていった。
こうでなくっちゃと妙な納得をし、俺は着替えてから矢口さんに挨拶をした。
106 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「お先あがります」 矢口さん:「…お疲れ様…」
さっきまでの笑顔が完全に消え失せていた。
俺:「あの……大丈夫っすか?」 矢口さん:「……ん、大丈夫……」
どう見ても大丈夫じゃない。 しかし、俺にどうこうできる技量はなかった。
110 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? そこで残ってれば「ヨルツキ君ありがとう、抱いてっ」な流れだったのになw
>mjd?さすがに俺も疲れてたし……OTL
114
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
帰りの自転車をこぎながら、店長と残された矢口さんのことを考えていた。 かなり苦痛だろうな……あの調子だと、店長からイヤミを言われたりはないんだろうが。 矢口さんもかなり店長が嫌いみたいだったしな。
それに比べてあの店長の笑顔……。 不気味というか、下心丸出しというか。 高橋タンと矢口さんにはいつもあんな顔してるんだろうか。 別に俺が嫌われるのは構わないが、あそこまで顕著にされるとな。
……あれは区別じゃない、差別だ。
さらに店長に不快感を覚えたが、今まで通り胸の奥底に飲み込んだ。
115 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
それから1ヶ月を過ぎ、夏本番を迎えた。
今日は店長が本社会議にて、一日店には来ない。 08時ー20時 高橋タン 矢口さん 15時ー08時 リーダー 20時ー08時 俺
普段から無茶苦茶なのに、この日はもっときついシフトになる。 俺と加藤君のシフトは順番交代で、今回は俺が入ることになった。
けど長時間の拘束も、店長がいないおかげで全く苦にはならなかった。
116 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
交代の時間。
リーダー:「ちょっと高橋〜。サービスしすぎなんじゃないの〜?」 高橋タン:「そうですか〜?周りはもっとすごいですよ」
俺「!!!!!!」
俺は思わず二度見した。
118
:ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
高橋タンが仕事上がりにタンクトップヘソ出しでロッカーから出てきた。
リーダー:「いや〜高橋の場合、バスケットボール入ってるから凄いよね〜」 高橋タン:「でも、肩こって大変ですよ」 リーダー:「イヤミかwwこうしてやるwww」
リーダーが高橋タンのおっぱいを鷲掴みにする。
実にけしからん!……いいぞもっとやれ!
119 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「ちょwヨルツキ君見過ぎwww」 俺:「み、見てませんよ!」 高橋タン:「えー、ヨルツキ君のエッチw」
なんだこのラブコメのノリは?! 確かに見てましたけども、男子たる物見ないわけなかろーが!
心の中で逆ギレしてると、矢口さんがロッカーから出てきた。
120 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「やっちんやっちん!ちょっと来て!」
高橋タンと矢口さんを並べるリーダー。
リーダー:「さぁ、どっちが好き?」 矢口さん:「えっ?!何?何ですか?w」
突然呼ばれた矢口さんは、訳がわからず笑っていた。
121 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「私はやっちんの味方だからね」 高橋タン:「えー、じゃーこれなら?」
高橋タンが、少し前屈みになって両腕を寄せる。
……俺も前屈みにならざるをえないwwww
123 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? おうじゃのけん反応しすぎwwww
125 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
矢口さん:「ちょ、そういうことですか!勝てるわけないじゃないですか!」 マリアナ海溝級の谷間を傍目に、矢口さんが理解したらしい。 自分のペタンコの胸を隠すように腕を組む。
見るなと恥ずかしがる矢口さん。 見てと前屈みする高橋タン。
大きいのが良い。 小さいのも良い。
つまり……おっぱいは正義。
128 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? おっぱいは正義。 おっぱい is Justice!!
134 :以下、名無しにかわりましてinspireがお送りします。 2008/04/01(火)
ID:??? 巨乳好きと貧乳好きは相容れないけど、こういう書き方なら同意できるなw
136 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「ほら、どっち?」 俺:「そ、そんな、選べないっすよ」 リーダー:「そう……やっぱ晴彦君がいいのね」 高橋タン:「えぇ〜。じゃあ仕方ないか、やめやめ」 矢口さん:「あぁ……男に負けるなんて、複雑……」 俺:「ちょwww」
どうやら俺はそういうキャラになってしまっているらしい。
137 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「俺、女の人大好きっすb!」 リーダー:「はい、お疲れ〜!」 高橋タン&矢口さん:「お疲れ様でした〜」
俺は全力で無視され、高橋タンと矢口さんは仲良くエレベーターに乗り込んだ。
138 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ちょ、リーダー、いい加減俺の誤解説いてください」 リーダー:「良かったと思うよ」 俺:「良かった?良くないっすよ」 リーダー:「ヨルツキ君の居場所出来て」
俺の……居場所……?
139 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
……そういえば俺、普通に女性の輪に溶け込んでる。 三人に囲まれた時、最初は抵抗があった。 何を話せば良いかわかんなくて、どんな顔したらいいかわかんなくて。
そう……居場所がなかったんだ。
140 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
でも今は普通に話せるようになった。
時間が解決してくれたのか。
……いや、わかってる。
一番の理由はリーダーがいたから。
どんな相談事も聞いてくれて、バイトの事も考えてくれて。
この人が居場所を作ってくれた。
俺の居場所を作ってくれた。
この人がいたから、俺はこのリアル社会の輪に入ることができた。
本当に感謝している。
141 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「とりあえず、誤解説いてくださいよ」
俺は照れくさくて、逃げるように書棚整理に向かった。
142 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
リーダー:「あ、ヨルツキ君、ちょっと待って」
俺が振り返ると、リーダーから真剣な顔で切り出された。
リーダー:「そろそろ入って半年よね?ヨルツキ君頑張ってるから、そろそろ時給上げてもらおうっか」
こうやって、俺をしっかりと評価してくれる。 本当にこの人に出会えて良かったと思った。
143 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「けど……店長に言うんですか?」 リーダー:「うん、けどハンコもらうだけだよ」 俺:「ハンコ?」 リーダー:「そう。私のハンコと店長のハンコがあれば本社で時給査定してもらえるの」
時給UPは嬉しいが、特にそれにこだわりはなかった。 ただここにいさせてもらうだけで良いというのが本音だった。
144 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「けど、店長がハンコ押してくれますかね?」 リーダー:「うん、大丈夫。今までもそうやってきたから」 俺:「加藤君とかあの二人もですか?」 リーダー:「そう。だからそれは心配しないで」
店長に直談判することは、またリーダーに負担を掛けることになるんじゃないだろうか。 しかし、俺がここで断る理由もない。 素直に評価されたと喜べばいいんだ。
145 :ヨルツキ◆mjk8CIL23/N 2008/04/01(火)
ID:L1rkxj2s0
俺:「ありがとうございます!もっと頑張ります!」 リーダー:「そうね、頑張って」
やりがいのある仕事、楽しい仲間。 俺はまさしく、幸せの最高潮にいた。
リーダー:「あ、外線」
そう、この外線がかかってくるまでは……。
この春新卒、俺無職なんだけどwww完結に続きます。
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